連載01:
産地の職人の動向

全国の和紙の里を駆け巡る、「和紙をめぐる小さな旅」 前編

2016.10.18
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どうも、大上です。

私事ではありますが、昨年の3月に息子が誕生しました。 里帰りしている妻を迎えに行く車中で、海外の方にも、国内の方にも、そして息子にも、 全国で紙漉きを頑張られる方々を紹介できる方法はないものかと考えていました。

と、その車中で思いついたのが、この「和紙をめぐる小さな旅」シリーズです。

このシリーズを通して、全国9つの和紙の里の紙漉きに携わる人たちを紹介します。 まずこの前編では、4つの産地を取り扱います。

目次
・和紙をめぐる小さな旅シリーズのコンセプト
・9つの和紙の里の漉き手をご紹介
・越前和紙の里より、山田兄弟製紙
・土佐和紙の里より、高岡丑製紙研究所
・美濃和紙の里より、丸重製紙企業組合
・因州和紙の里より、中原商店
・4つの和紙の里をご紹介しました

和紙をめぐる小さな旅シリーズのコンセプト

デザイナーである浪本浩一さんと、全国の和紙の里を駆け巡りました。
一つ一つ、丁寧に和紙職人さんを取材し、その人が責任を持つ和紙を使い、 便箋にしていきました。

それぞれの都道府県の漢字を、デザインしています。
また、お野菜でもありますが、誰が作ったか、というのを見ていただくために、 裏の説明書きには、漉き手の方に登場していただきました。 郷里を思いお手紙を書いたり、外国の方へのお土産にしたり。 色々な使い方をしてみてください。

ペンでの書き味にも注目して和紙を選びました

9つの和紙の里の漉き手をご紹介

こんなに和紙の産地ってあったんだ、という風なお声をいただきます。
でも、実は今回ご紹介する9産地は、和紙の里の一部です。
江戸時代には全国に紙漉き場があったといわれています。 シリーズ展開として、まだまだこの先も紹介していければと思っています。

本記事では、まず4つの産地をご紹介します。

越前和紙の里より、山田兄弟製紙

和紙のブランド産地といえば、福井県越前。
紙の神様の川上御前が祀られる岡太神社は、今でも地元の人たち、それに全国の紙関係の人たちに愛されています。
そんな越前和紙の里で長年和紙を作り続ける山田さん。 「伝える力を持った紙を作りたい」と、力強く語ってくださいました。

左:紙の神様、川上御前を祀る岡太神社
右:山田さんの和紙の便箋と紹介文
山田兄弟製紙株式会社の山田晃裕さん

土佐和紙の里より、高岡丑製紙研究所

薄くて強靭な和紙作りが特徴的な高知県の土佐和紙。
また、生活に密着するような、障子紙なども作り続けてきました。 高岡さんは、日本で最初に機械漉き和紙を考案、開発した会社です。
「和紙は生き物のようです。人と環境にやさしい和紙を、多くの方に使っていただきたい」と話してくれました。

左:いの町という紙の町にある高岡さんの工場
右:やわらかい感触が特徴的な和紙
有限会社高岡丑製紙研究所の高岡幸一郎さん

美濃和紙の里より、丸重製紙企業組合

日本3大和紙産地といえば、越前、土佐、そしてこの岐阜県美濃和紙です。
繊維がむらなく絡み、柔らかな独特の肌触りが、1300年続く美濃和紙の特徴です。

美濃和紙の里で紙漉きをされる、丸重製紙の辻さん。 和紙ブラザーズとしてご兄弟で美濃を盛り上げています。 「和紙の素材は、自然からの贈り物。」と、弟である辻将之さんは語ってくれました。

左:美しい美濃の風景
右:透かし模様が入った便箋。光に透かすと、驚きが生まれます
丸重製紙企業組合の辻将之さん

因州和紙の里より、中原商店

1300年の歴史を持つ鳥取県の因州和紙。
現在では、書道・書画用紙の生産が日本一。 特殊な原料処理の方法で、墨色が良く、裏抜けしないと評判です。
因州和紙は、高級紙ではなく、庶民の紙を作り続けてきました。 中原商店の中原さんは、「使う人の声を聞きながら、日々どんな紙がよいのか試行錯誤しています。」と話してくれました。

左:鳥取県青谷、因州和紙の里の風景
右:い草を漉き込んだ特徴のある和紙
株式会社中原商店の中原剛さん

4つの和紙の里をご紹介しました

越前、土佐、美濃、そして因州和紙をご紹介しました。 次回は、石州、吉野、近江、伊予、阿波をご紹介いたします。

 

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以上、産地めぐりがすごく好きな大上でした!

つづく

今回紹介した4つの産地の便箋

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