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和紙のことを知る

和紙の値段が決まる3つのポイント

2016.09.08
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どうも、大上です。

和紙の値段のイメージっておありですか?

なんだか高いんだろうな、自分たちのサービスには使いづらいだろうな。
いいもんという印象はあるけど・・・ というようなものでしょうか。
値段というのは、使うべきものの価値に見合っていることが大事だと思いますので、 1円でも安く、という記事ではありませんのでご了承ください。
さて、和紙の値段を決める要素をそれぞれまとめてみました。

目次
・漉き方による値段の違い
・原料による値段の違い
・経済的な側面から見る値段
・購買時に値段が安くなるポイント

漉き方による値段の違い

何度かこのブログにも登場しましたが、和紙には手漉きと機械抄きがあります。
手漉きの場合は、人間が一枚一枚丁寧に抄いていきますので、もちろん高くなります。
機械抄きの場合は、より早くより多く作るために生まれています。
すべてがそうとは言い切れないのですが、一般的には値段は、 手漉き>機械抄き となります。 しかし、では手漉きがダメかというとそうではなく、しっかりと丁寧に抄くことにより、 紙の強度がだいぶ上がります。
なので、名刺入れやブックカバーなどに使うことが可能になります。 これは、機械抄きの紙の強度では難しいです。 反対に、印刷を行うには機械抄きであれば厚みなども均等になりますので、機械に分があります。

手漉き和紙は、クッションが作れるくらい強靭に漉くことも可能です

原料による値段の違い

かつての和紙作りの原料としては、楮、ミツマタ、ガンピという靭皮繊維と呼ばれるものが使われていました。
勿論、今でも手漉き和紙の場合は、上記が主流です。 外国産、国産でずいぶん値段も変わります。 機械抄きが隆盛してくると、木材パルプを使うようになりました。
和紙の場合は、洋紙で使う広葉樹のパルプよりも少し繊維の長い、針葉樹のパルプを使います。 ただ、それでもここでコストが分かれます。
ということで、原料から見る和紙の値段は、 国産の靭皮繊維>外国産の靭皮繊維>>針葉樹のパルプ ということになります。 この部分における差も、やはり強度です。
国産の靭皮繊維、特に楮は繊維がしっかりしていて長いので、強度が上がります。 パルプは、比べると強度が落ちます。 また、保存性の観点から言っても、木材からパルプを形成する過程でリグニンという物質が大量に含まれるので、 これが劣化の原因となります。
靭皮繊維にもリグニンは含まれるのですが、含有量は少なく、 かつそれを取り除くことが和紙の原料づくりの工程に含まれているので、劣化が起こりにくいのです。

良質な楮を、丁寧に処理していくことで紙の質が上がる

経済的な側面から見る値段

あと、身もふたもないことかもしれませんが、生産数によっても値段は変わります。
手漉き和紙とはいえ、1枚だけ漉くということは不可能です。
原料の処理に多量の時間を使い、それを一気に抄いていく。 また原料の処理をして、抄いていきます。 手漉き和紙の場合は、1日に処理できる量や、漉くことの出来る量もある程度決まってくるので、 数が多くなるほど安くなる、ということではないのですが、初めて漉く紙と毎日漉き続けている紙では熟練度にも差が出ますので、 値段の変化の要因にはなります。

機械抄きの場合も、基本的には同じ話です。 しかし、一度に原料を処理し、抄く数量が手漉きとはけた違いです。 たくさん作って固定費を下げる。売れ筋の商品はよりノウハウを蓄積しやすく、品質も向上します。 となると、手漉きも機械抄きも、自社の持つ技術が生かせる方向の紙が一番お買い得なものである可能性が高いのです。 近年は廃盤情報も多く聞かれますので、より得意なことに集中していくような流れになっています。 和紙の面白さはここにある気がします。

どんな紙でもできる巨大メーカーというのが和紙業界には存在しません。 それぞれの得意な紙を、メーカーごとの特性と一緒に知ることで、適正な値段で和紙を手に入れることが出来るのです。

機械抄き和紙の場合は、ロールで紙が出来上がります

購買時に値段が安くなるポイント

これは、裏技でもなんでもなく当たり前かもしれませんが、多く買うと安くなります。

通常、紙は「包み」という単位があります。 紙の厚さや種類によって違うのですが、和紙の場合は全紙で250枚とか200枚が多いです。 それ以下の枚数になると「端紙」という扱いになり、値段が跳ね上がります。 仮に包みでの単価が100円だった場合、端紙では200円、300円となります。
一般にお店などで手に取ることが出来るのは、この値段です。 もし、同じ種類でずっと使い続ける予定である、とか、知り合いにも同じく使いたい人がいる、というのであれば、 「包み」での購買の検討をお勧めします。

本日は、和紙の値段について、ポイント別にお伝えしました。 以上、大上でした。

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