連載01:
産地の職人の動向

全国の和紙の里を駆け巡る、「和紙をめぐる小さな旅」 後編

2016.10.19
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どうも、大上です。

前回は、「和紙をめぐる小さな旅」シリーズより、越前、土佐、美濃、因州の和紙の里の漉き手をご紹介しました。

今回は、石州、吉野、阿波、近江、伊予をご紹介します。

目次
・石州和紙の里より、かわひら
・吉野の和紙の漉き手、福西和紙本舗
・阿波和紙の里より、アワガミファクトリー
・近江の和紙、成子紙工房
・伊予和紙を漉く、金柳製紙
・9産地をめぐって

石州和紙の里より、かわひら

2009年に、ユネスコの世界無形文化遺産に登録された島根県の石州半紙。
地元で栽培された良質な楮を使い、丁寧な和紙作りをされています。 弾力のある強靭さと驚くほどの軽さ、それに柔らかな肌触りを持つ石州和紙。

石州和紙を漉かれる川平さんは、「和紙独特の香りと風合いを楽しみながらお使いください」と仰っていました。

左:島根県三隅町にあるかわひらさん
右:石州半紙のもととなる和紙を使用した便箋
かわひらの川平勇雄さん

吉野の和紙の漉き手、福西和紙本舗

壬申の乱(672年)で奈良県吉野に兵を挙げた大海人皇子が紙つくりを伝えたという説もあるほど長い歴史。
特に吉野の宇陀紙は、世界各国の美術館などで国宝などの修復に使われることでも知られています。

今回は、吉野の杉皮を使った和紙を使わせていただきました。茶室などの壁紙にも使われています。 「この素材が感じられるこの杉皮和紙は、吉野の歴史風土そのものです」と福西さんは話してくれました。

左:変わらぬ伝統を守り続ける手漉きの風景
右:杉皮を使った素材感を感じられる和紙
福西和紙本舗の福西正行さん

阿波和紙の里より、アワガミファクトリー

徳島県阿波和紙は、奈良時代忌部氏一族が、麻や楮を育てて紙や布を製造したという記録が残っています。 厚手でありつつも、しなやかさが特徴です。

現在は、藍染和紙や、写真用の印刷和紙など、果敢に新たなチャレンジを続けられています。

「和紙を手にすると、なんだかなつかしい気持ちよさを感じることが出来ます。それは私たち日本人が受け継いできた和の心です。」 そう、アワガミファクトリーの理事長である藤森さんは語ります。

左:阿波和紙の里、徳島県阿波山川の風景
右:楮の荒い繊維を模様として漉き込んだ和紙
アワガミファクトリーブランドを制作する富士製紙企業組合の理事長、藤森洋一さん

近江の和紙、成子紙工房

滋賀県、近江でも紙漉きは行われています。
薄くて光沢のある、雁皮という希少な原料を用いた和紙を得意とします。
雁皮は、滋賀県桐生の地で、山野に自生しているものを使用。 独特の光沢と表面の滑らかさから、かな書きの王朝文化をささえてきました。
「ぜひ歴史あるこの雁皮紙を使って手紙を書いてください。」と、漉き手である谷さんは話してくれました。

左:光が差し込む工房
右:雁皮という、光沢がありなめらかな繊維を使った和紙
有限会社成子紙工房の漉き手、谷宗幸さん

伊予和紙を漉く、金柳製紙

愛媛県四国中央市は、全国屈指の紙のまち。
豊富で上質な水と、堅実な住民性が伊予和紙を育ててきました。
現在は、印刷用、食品用原紙などを抄いています。 和紙製造は化学です。やってみないとわからないことも多いといいます。 「技術と経験を活かしながら日々試行錯誤しています。
この便箋の紙はなめらかな書き心地です」と、工場長の窪さんは話します。

左:紙の原料を処理する機械
右:ピンク色がかわいらしい、伊予和紙
金柳製紙株式会社の工場長、窪武久さん

9産地をめぐって

今回「和紙をめぐる小さな旅」シリーズでお世話になったのは9産地ですが、日本にはほかにもその土地に根付いた紙づくりがあります。

ぜひ、ご旅行に行かれる際などに、紙の文化のことを念頭に置いていただけると幸いです。 和紙は、人が作っています。作り手のことを知ると、もっと和紙使いが楽しくなります。

左:デザイナーの浪本浩一さん。

langdesignの浪本浩一さんには大変お世話になりました。

1000キロオーバーの長旅、ありがとうございました!

 

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おわり

今回紹介した5産地の和紙です

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