連載01:
産地の職人の動向

昔の和紙は革の代わり?因州和紙の風景を動画で。パートナー募集してます

2016.11.11
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どうも、うるわし店長の大上です。

手漉き和紙の強さについては、以前にもこの記事で書きました。
長い楮の繊維をしっかりと絡め、こんにゃくのりを揉み込み、しっかり揉んであげると、和紙は縫製の出来るものとなります。
江戸時代には、擬革紙といって、さらに柿渋を何度も塗り重ねて強度を増した和紙で高価な革の代わりをしていました。

このエピソードに、我々は魅せられました。

和紙で革の代わりが出来るのであれば、動物を傷つけず、エコロジーな素材が出来るのではないかと。

ちょうど、そんなことを思っているときに、鳥取県因州和紙の中原商店さんが、強度のある和紙の製造の開発を続けていることを知りました。

色々な打ち合わせの末に、紙を漉いていただきました。
この紙を使った製品は、まだ完成していませんが、紙づくりや因州和紙のことをこの動画はお伝えしています。

こちらの素材は、これからいろいろ開発を進めます。
もし縫製関係や、服飾雑貨などをおつくりの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒に開発をさせていただけないでしょうか。

左:楮
右:楮の水洗い

楮を、丁寧に洗い、紙に漉いていくところから始まります。
中原商店さんは、全国でも珍しい「手漉き和紙の機械化」に取り組んでいるメーカーです。

手漉き和紙の効率化

機械抄き和紙というのは、いろいろなところで行われていますが、どちらかというと洋紙のマシンを和紙仕様に改造したものです。
こちらでは、本来手で行っている動作を、機械に置き換えるという、手漉き和紙そのものの紙づくりを行っています。

機械化といっても、原料を揺する部分のみですので、乾燥は手漉きと同じく、鉄板に一枚一枚刷毛で貼ります。

左:機械で揺らされる原料。紙漉き工程。
右:乾燥場へ、一枚一枚送られる

因州和紙の里について

因州和紙の里は、鳥取県の日本海側に位置する山間の場所にあります。
とても静かで美しい土地で、山と海、両方の自然に恵まれています。
昔から、越前などのブランド産地に比べて、庶民に使われる、庶民に愛される和紙を作り続けてきた産地です。

因州和紙の里

因州和紙を支える人

登場するのは、社長の息子さんであられる中原寛治さん。
非常に博識で、和紙のことならば何を聞いても応えてくれます。
それでいて、新たな取り組みに対しても積極的で、大変心強いパートナーです。
「かごなで」という、因州和紙特有の、自分の指の腹で楮の状態を感じながら処理していく方法もマスターされています。
この技術はすたれてしまい、これが出来る人は、今では因州では寛治さんだけらしいです。

左:真剣なまなざしの中原寛治さん。
右:かごなでの様子

使いやすくする工夫

強度を持たせながらも、加工性を上げたい。そんな要望に、真摯に向き合ってくれました。

今回の紙の特徴は、紙を乾燥させる前に揉み加工をしてしまうことです。
こうすることにより、紙に深いしわが入り、柔らかさや強度が増すのです。

縫製が出来るようになると、一気に和紙の用途は広がります。
かばんや名刺入れ、クッションなど、文房具の領域を超えて活躍できます。

印刷の方法は、今のところシルク印刷や活版印刷などが可能かと思うのですが、
布などに印刷するインクジェットプリンターなども活用してみたいと思っています。

乾燥する前に揉んでしまう

楮をしっかり使った和紙って、実はほとんど見ることがなくなってしまったんです。
便箋や封筒などに使われる和紙は、ほとんどがパルプで作られています。
中には、少しだけ楮を混ぜているものもあります。

それは、私は理に適っていると思っています。一度読んでもらうだけのお手紙などに、楮が大半の紙は、オーバースペックです。
でも、この強度を活かすことが出来る物であれば、楮をふんだんに使う和紙はパルプ和紙には絶対まねの出来ない物になります。
日常品であれば、皆様にとって、和紙がもっと身近になるのではと考えています。

最後は、中原さんと二人で和紙の生末についてお話をしました。
一つ一つ形を作って、新しい提案でもってして、チャレンジをしていきたいと思いました。
商品はまだ出来ていないのですが、早く触れてもらえるように、企画を進めます。

因州和紙の便箋

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