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和紙のことを知る

和紙の歴史、約1400年分をサクッとお伝えします

2016.09.06
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どうも、大上です。

皆様にとって、和紙とはどんなイメージでしょうか。
おそらく、思い浮かべていただいた中には、昔からずっと続くもの、という印象を持たれた方も多いのではないでしょうか。 そのご想像は、大正解です。
和紙には、1400年もの歴史があります。その始まりは、冒頭の人物が大きな役目を担っていたのです。 使っていた人たちに着目して、和紙の歴史をサクッとご説明いたします。

国家→貴族→武士→町人という流れで、1000年以上かけて、普及しました。

目次
紙漉き伝来~平安時代 国から貴族へ
鎌倉時代~江戸時代 武士から町人へ
明治時代~1990年代
現代

紙漉き伝来~平安時代 国から貴族へ

紙づくりの製法は、日本書紀によると西暦610年朝鮮の僧がその製法をもたらしたとされています。 それ以前にも、福井県越前では漉かれていたなどの説もあるので、和紙の起源については諸説あり、という状況です。

610年というのは、聖徳太子さんの時代でした。冒頭の写真の人物ですね。
崇仏派と廃仏派の争いで聖徳太子が勝利し、仏教を世に広めよう、そんなときに紙漉きの技術が伝来しました。 聖徳太子は、仏教を広めるために写経用に和紙を使いました。
そうそう、偶然ですが、弊社は聖徳太子が建立した四天王寺のおひざ元で商いをしています。 和紙の流通の原点で、紙卸に携われることに運命的なものを感じています。
また、その後は国家が戸籍を管理するためにも活用しました。このころには、紙屋院という、国家の紙漉き所も作られていました。
「紙づくりの製法」が伝来したのが610年と書きましたが、それはあくまで大陸の作り方でした。 平安時代には、紫式部などの女流作家の要望を満たすために、薄くて強い和紙を作る技術も発達、日本独自の「流し漉き」が生み出されたのもこのころです。
和紙はこのとき世界の紙と違う、しなやかで強靭な紙へと飛躍を遂げました。和紙の歴史の中で、最も大事なポイントだったといっても過言ではありません。 驚くべきことに、このころから一度使った紙を原料に溶かして、もう一度紙にするという、「漉き返し」も登場しています。 日本人はこういったことを大事にしてきたんですね。

紙の神様を祀る、福井県越前の岡太神社

鎌倉時代~江戸時代 武士から町人へ

和紙の歴史は、いいくに作ろう、の鎌倉時代へ。ここからは武家文化です。
武家の贈答用に、分厚くて力強い和紙が隆盛しました。 まだまだ和紙は貴重品です。1束1本と呼ばれ、紙の束と扇を一緒に送る慣習がありました。 武力だけでは世の中渡っていけない、こういう贈り物をするような根回しの力がすでに求められていたんですね。 折形という贈答の形の文化が普及したのもこのころかと思います。
時代は進みます。
江戸時代は出版が盛んでしたので、印刷する紙として爆発的に町民に普及しました。 1600年より江戸時代が始まりますので、紙の製法が伝来して約1000年。ようやく、「普及した」と言えるところまできました。 浮世絵、錦絵、黄表紙など、様々です。 また、藩の財政を潤すために、紙漉きは比較的産業としてはじめやすかったので、全国に広がりました。冬の間の農閑期のころに出来るということも、 皆が始めた要因なのだと思います。 天下の台所大坂では、米、木材に次ぐ流通量を和紙は誇っていました。

折形は、現代の世の中にも生かされています

明治時代~1990年代

明治に入ると、欧米の紙が入り始めます。
まだまだ手漉きで頑張っていて、近代化を図りながら頑張ります。
1901年には、生産業者は7万戸、従事者は20万人いたといわれていますので、すごい人数です。
しかし、文明開化により新聞や雑誌も非常に多く必要になり、明治末期から大正時代には大量生産され、かつ印刷機との相性がいい洋紙が需要を持って行ってしまいます。
印刷に向くタイプライターの原紙などを開発し、逆に海外に輸出するなど、昭和の初期、つまり第二次世界大戦前にはある程度の規模の紙漉きさんは維持されていたようです。

しかし、戦争が終わり高度経済成長を迎えると、地方での紙漉きを行う人が減り後継者不足になりました。また、和傘から洋傘に転じるなど、大きな需要も減ってしまいます。 機械抄きの和紙がこのころから非常に頑張ります。より和紙という文化や技術を工業化によってつなぎたいと考えたのでしょう。
そして今、やはり手漉き和紙の職人さんは年々減少の一途をたどっています。 また、バブル期にその生産能力で隆盛を極めた機械漉き和紙も、今では毎年廃業の声を聞くようになってしまいました。 1400年の歴史の中で、最も危機的な状況を迎えているといっても過言ではありません。

機械抄き和紙の登場

現代、そして次の世代へ

しかし、世界の美術館の作品の修復で和紙が重宝されたり、ユネスコ無形文化遺産に登録されたりと、明るい話題もあります。 和紙の歴史を、これからも1000年、2000年とつないでいきたい。 そんな風に思って毎日のお仕事に取り組んでいます。 サクッとと言いつつ、長くなってしまいました。 お読みいただきましてありがとうございます!

次の世代へつなぐ!そういう信念をもっています。大上でした!

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